この記事はFCSⅡフィンのESSENTIAL(エッシェンシャル)シリーズの解説とレヴュー記事です。
FCSⅡからリリースされているESSENTIAL(エッセンシャル)シリーズ。
エッセンシャルとは「欠くことはできない」「必須の」「本質的」といった意味があるように、FCSⅡのフィンの中ではベーシックなラインナップであると言えます。
これまでに様々なフィンを試してきた著者が実際にエッシェンシャルシリーズを使ってみた感想を含めながら、それぞれの種類の特性について解説していきたいと思います。
「沢山種類があってどれが自分に合っているのかわからない!」
そんな方は是非参考にしてみてください。
もくじ
4デザインのESSENTIALシリーズ
FCS2のESSENTIALシリーズにはPERFORMER(パフォーマー)・REACTOR(リアクター)・ACCELERATOR(アクセルレーター)・CARVER(カーバー)という形状の異なる4つのファミリーがあります。
それぞれのファミリーにはPERFORMANCE CORE CARBON(パフォーマンスコア カーボン PCCで略)、PERFORMANCE CORE(パフォーマンスコア PCで略)、NEO GLASS(ネオグラス)、GLASS FLEX(グラスフレックス)の4種類の素材があります。
さらに素材ごとにいくつかのサイズの選択肢が用意されています。
公式上での各ファミリーのコンセプトはPERFORMERがバランス重視、REACTORがスピード重視、ACCELERATORがコントロール重視、CARVERがパワー重視となっているようです。
素材はPERFORMANCE CORE CARBONがもっとも硬くGLASSFLEXがもっとも柔らかくフレックス(しなり)があります。
ESSENTIALシリーズでは自分のライディングスタイルや波質に合わせて形状・素材・サイズからチョイスすることができるようになっています。
素材による違いを知りたい人はコチラの記事を参考にしてみてください↓
フィンの形状による違いなどフィンの基礎知識的な事を知りたい人はコチラの記事を参考にしてみてください↓
次はそれぞれのファミリーを著者の使用感を踏まえて解説していきます。
PERFORMER(パフォーマー)
性能バランスの取れたオールマイティーかつスタンダードなパフォーマー
PERFORMERは良く言えば各性能をバランス良くブレンドしたフィン、悪く言えば特化したところのないフィンと言えるでしょう。
FCS2エッセンシャルシリーズの中で最も標準的でベーシックなフィンになると言えます。
まずはこのファミリーから試すのがおすすめになります。
基本的にはビーチブレイクからリーフのポイントブレイクまで、どんなコンディションでも、どんなサーフボードでも対応出来るようにデザインされています。
筆者が実際に使用した感じからすると、まさにどんなコンディションでもどんなサーフボードにも合う万能フィンだと感じています。
でもそれだけ面白みにも欠けると感じてしまうほど、癖がなく無難なフィンと言えるかと思います。
性能的には、ドライブ性、ピヴォット性、スライド性、リリース性、ホールド性とどれもバランスの取れたポテンシャルです。
個人的にはレイクも立っているので、比較的ロッカーの少ないボードでの相性の良さを感じます。
ロッカーのあるボードでは、ターンやドライブで少し頼りなさを感じる場合があります。
この辺のフィーリングは、ライディングスタイルやレベル、また好みによっても変わって来るところではあると思います。
まだ経験の浅いサーファーは、間違いなくこのフィンから乗るのがおすすめでしょう。
「フィンの違いなんてわからん!でもフィン変えたいんじゃ!」という人はパフォーマーにしておけば間違いないと思います。
- 全ての性能でバランスが取れている
- オールラウンド
- どんなコンディションでも合う
- どんなボードにも合う
フィンサイズは素材により選択肢が異なりますがXS・S・M・Lの4サイズが販売されています。
PCC:XS・S・M・L
PC: XS・S・M・L
NEO GLASS: XS・S・M・L
GLASS FLEX: S・M
XS size:Base105mm Depth109mm Area8554㎟ Sweep33.7°
S size:Base108mm Depth112mm Area9054㎟ Sweep33.7°
M size:Base111mm Depth115mm Area9554㎟ Sweep33.7°
L size:Base114mm Depth118mm Area10054㎟ Sweep33.7°
※FCS社カタログより
従来のM3がS、M5がM、M7がLに近いですが、若干小さめになっているなどサイズが変わっています。
レイクも従来のMシリーズより少し寝たデザインになっています。
REACTOR(リアクター)
スピードを維持しながらタイトなターンを可能にするリアクター
このフィンは、FCSのライダーでもあったケリー・スレーターがデザインした『K2.0』『V2』というモデル名でリリースされていたフィンと同じテンプレートを使用してデザインされています。
基本的にはビーチブレイクに適したフィンです。
エリアが大きくレイク(スイープ)はエッセンシャルシリーズの中でも最も立っていて、スピードを維持しながらもピヴォット性とスライド性に優れ、急な方向転換にも対応するイージーな回転性のフィンとなっています。
大きなフェイスではスピード&ドライブ性をキープしながらもコントロール性に優れ、小さなフェイスであってもポケットでのタイトなコントロールを可能とし、テールリリースが素早く細かいターンを攻めるのに人気のフィンです。
エリアの大きさによるホールド性の良さ、また細かい反応の良さから、掘れるブレイクでのコントロール性にも優れているのも特徴です。
レイクが立っているので、比較的ロッカーの少ないタイプのボードに相性が良いと実際の使用で感じました。
現モデルはカタログ表示ではセンターフィンはサイドフィンと同サイズに記入されていますが、実際にはセンターフィンの方がサイドフィンより小さくデザインされています。
これによりテールコントロールでのリリースも素早く行うことが可能で、ルースな反応で攻めたサーフィンも可能となっています。
- ビーチブレイクに適している
- コントロール性に優れる
- 回転性に優れる
- ロッカー弱めのボードと相性が良いかも
フィンサイズはPCCのみS・M・Lの3サイズから選べます。
それ以外の素材はMサイズのみリリースされています。
PCC:S・M・L
PC: S・M・L
NEO GLASS: S・M・L
GLASS FLEX: M
S size:Base107mm Depth113mm Area9150㎟ Sweep31.9°
M size:Base110mm Depth116mm Area9650㎟ Sweep31.9°
L size:Base113mm Depth119mm Area10150㎟ Sweep31.9°
※FCS社カタログより
ACCELERATOR(アクセルレーター)
駆動性やドライブ性を重視したいならアクセルレーター
このフィンは、パフォーマーよりもエリアが少し大きく、またフィンの先端のティップもワイド感があります。
公式上ではコントロール性重視のコンセプトのようですが、著者が実際に使ってみた感じとしてはドライブ性と駆動性に優れたパンチンチの効いたフィンだと感じています。
またカタログ表記では「大きな波での良いコンディションに最適」とありますが、個人的にはサーフボードとの相性良ければ小波でも調子が良く、著者の小波向けの組み合わせでメインで使用しているフィンです。
パフォーマーでサーフィンしていて、「なんか駆動感が物足りないな」とか、「もっとドライブの伸びが欲しいな」とか、「もっとガッツリとターンでホールドしてリップを攻めたいな」などと感じるところがあれば、絶対試してみるべきフィンだと思います。
また小波用などでテールワイドの広いボードで、テールのルースが緩く頼りないと感じたときなどにも、サイドフィンをこのフィンに変えるだけでも変化を感じられると思います。
サイズアップしてパワーが出てきたコンディションで、パフォーマーでは頼りなさを感じる時にも、このフィンに変えてみるとホールド感や駆動感が高まり調子の良さを感じられるようになることもあります。
相性の良いサーフボードとしては、やはりレイクが立ったデザインでもあるので、比較的弱めのロッカーが相性良いと感じます。
あまり強くないロッカーのボードの駆動性やドライブ性をアップさせたい場合にはこのフィンが良いかもしれません。
- 駆動性とドライブ性に優れる
- 基本は良いサイズ良いコンディション向け
- ボードとの相性が合えば小波でも調子よい
- 弱めのロッカーのボードとの相性がよい
フィンサイズは素材により異なりますがGROM・S・M・Lの4サイズが販売されています。
PCC:S・M・L
PC: GROM・M
NEO GLASS: S・M・L
GLASS FLEX: M
GROM size:Base100mm Depth105mm Area7985㎟ Sweep33.7°
S size:Base109mm Depth113mm Area9360㎟ Sweep33.7°
M size:Base111mm Depth116mm Area9860㎟ Sweep33.7°
L size:Base114mm Depth118mm Area10360㎟ Sweep33.7°
※FCS社カタログより
従来のM3がS、M5がM、M7がLに近いですが、若干エリアなど大きくなっているなどサイズが変わっています。
レイクも従来のMシリーズより少し寝たデザインになっています。個人的にはMシリーズは、こちらのフィンに近い感覚を得ています。
CARVER(カーバー)
伸びのあるドライブターンやカーヴィングターンなどパワフルなサーフィンに最適
このフィンは、エッセンシャルシリーズの中でも、また他のフィンラインナップの中でもレイクが最も大きく傾斜したフィンになります。
基本的にはサイズアップした大きく広いフェイスでのダウンザライン、パワフルなカービング、伸びのあるドライブターンを攻めたい時に相性の良いフィンです。
リーフブレイクやポイントブレイクのコンディションに向いています。
ポテンシャル的には駆動性、ドライブ性、グリップ力に優れています。
ピヴォット性やリリース性は弱いので、小さな細かいターンではなく大きなラインのサーフィンをしたい時におすすめとなるフィンです。
サーフボードはロッカーの強めなボードに相性がよく、弱いロッカーのボードでは走り過ぎてしまう感覚を感じたり、ターンが硬く重く感じるかと思います。
筆者個人的にもサイズあるパワフルなコンディションで、ロッカーの強めなボードにセットして愛用しています。
- ドライブ性、グリップ性に優れる
- 大きなターンのサーフィンに向いている
- ショルダーが広くパワーのある波との相性が良い
- ロッカーの強いボードとの相性が良い
フィンサイズは全素材でM・Lの2サイズが販売されています。
M size:Base113mm Depth115mm Area9550㎟ Sweep37°
L size:Base116mm Depth118mm Area10150㎟ Sweep37°
※FCS社カタログより
水流を生み出すインサイドフォイルテクノロジー
REACTORとPERFORMERにはIFT(インサイドフォイルテクノロジー)が採用されています。
インサイドフォイルテクノロジーとは、フィンの内側にサーフボードのコンケーブのように曲線の凹みがあり、抵抗のない効率の良い水流を生み出すことで揚力を発生させやすく、スピード性やホールド性をアップさせる流体力学テクノロジーです。
クアッドリアフィン
クアッドリアフィンは、REACTOR、PERFORMER、CARVERデザインが販売されています。
パフォーマーのクアッドリアフィンは パフォーマンスコア・ネオグラス・グラスフレックスの3タイプ、サイズは S・M・Lの3サイズが販売されています。
S size:Base97mm Depth101mm Area7150㎟ Sweep32.4°
M size:Base104mm Depth108mm Area8150㎟ Sweep32.4°
L size:Base110mm Depth115mm Area9150㎟ Sweep32.4°
※Mサイズは従来のG1000と同テンプレート&サイズになります。
リアクターのクアッドリアフィンはパフォーマンスコアのMサイズが販売されています。
M size:Base102mm Depth112mm Area8150㎟ Sweep28.5°
カーバーのクアッドリアフィンはパフォーマンスコア・ネオグラス・グラスフレックスの3タイプ、サイズはS・Mの2サイズ が販売されています。
S size:Base98mm Depth100mm Area7140㎟ Sweep33.2
M size:Base105mm Depth107mm Area8150㎟ Sweep33.2°
※Sサイズは従来のGXと同テンプレート&サイズになります。
片面フラットフォイルとセンターフィン50/50フォイルの2タイプが販売されています。
フィンサイズの目安
私の経験上のおすすめできるサイズの目安です。
XSサイズ:50キロ代
Sサイズ:60キロ前半
Mサイズ:60キロ代
Lサイズ:70キロオーバー
FCSⅡになってから、ベース部固定のホールド性が良くなったので、大き目なサイズを使用してもフレックスを利用できるようになり、比較的大き目なフィンを好むサーファーも増えて来ていると聞きます。
あくまでも目安として、色々試されて自分にベストと思えるサイズを見つけられることをおすすめします。
まとめ
それぞれのフィンの特徴をまとめるとこんな感じです↓
- まず試すべきはバランスの取れたパフォーマー
- 弱めのロッカーのボードで回転性重視ならリアクター
- 駆動性やドライブ性アップならアクセラレーター
- 強めのロッカーのボードで伸びのあるドライブターンやカーヴィングターンならカーバー
フィンはレベルやサーフィンスタイル、また乗り方や好みによってもチョイスは変わってくるものです。
カタログ表記や基本コンセプトに囚われず、色々実際に試してみる中で自分に合ったボードにも合ったフィンを探してみることをおすすめします。