この記事では自分に合ったフィンを選ぶための基礎知識についてお伝えしていきます。
「なんだか理屈が小難しくてねぇ・・・」
「どーせフィンとか変えてもわからんし」
このようにフィンを見た目のデザイン性だけで選んでいるそこのあなた。
もったいない!
自分に合ったフィンを探すのもサーフィンの一つの楽しみですよ!
今回はサーフィン歴30年サーフショップ店長経験のあるわたくしEASTWAVEがフィンについての解説を行っていきます!
この記事を読んでフィンを変えれば、もっと理想のライディングに近づけるかもです。
道具を選ぶ楽しさにも触れられますよ。
フィンの役割と特性
フィンは何のためについているの?
サーフボードのテールにセッティングされているフィンですが、「フィンは何のためについているの?」と聞かれたら、フィンのことに詳しくない方は「ターンをするため!」と迷わず答える人が多いかと思います。
しかしフィンは様々な特性をもちターン以外にも様々な面に影響しています。
フィンの持つ特性としては駆動性能・ドライブ性能・ピヴォット性能・リリース性能・スライド性能・グリップ性能・ホールド性能・ルース性能といったものがあります。
それぞれ解説していきます。
駆動性能
サーフボードのフィンにおいての駆動性とは、
- パドリングでグググッとボードを走らせる
- テイクオフの滑り出しでボードを前に押し出し走らせる
- ライディング時の加速
このようなボードを前に進める性能が駆動性です。
ドライブ性能
サーフボードのフィンにおいてのドライブ性能とは、
- ターンを伸ばすためのボードの走り(スピード)をキープする性能
- ボトムターンでの伸びのあるターンをするための性能
このようにターン中のエネルギーを維持させる性能がドライブ性能です。
特に上級者になるほど、このドライブポテンシャルは凄く気にかけるところです。
ピヴォット性能
ピヴォット性能とはターン時の小回り性能のことです。
ピヴォット性能が高くなるほどターン半径の小さいアグレッシブなターンが可能になります。
リリース性能
アクションなどでボードを返す際などで、波に入れたフィンを抜く性能です。
上級者サーファーが言う「フィンの抜け」という表現に影響します。
スライド性能
テールやボードをスライドさせやすい性能です。
特に緩慢なフェイスでのライディングやアクションにおいては、テールやボードを横滑りさせることができることで、コントロール性がよくなります。
グリップ性能
加速させるためにボードを踏み込んだ際に、横滑りさせずにしっかりとしたコントロール性を得る性能です。
ホールド性能
ホールド性能とはボードが海面に吸い付くような安定感に繋がる性能です。
- パドリングでふらつきのない安定感
- テイクオフでグラつきのない安定感
- ライディングでのボードの安定感とコントロール性
など、様々なコントロールにつながる安定性能です。
ルース性能
ボードやテールを流れやすく軽快さのあるコントロールを可能とする性能です。
このようにフィンはサーフボードやライディングにこれだけの影響と役割与える大切なパーツです。
フィンの形状やサイズについて
色んなフィンがあるけど、形が違うとどのように影響するの?
フィンの形状や大きさはフィンの性能に大きく影響しています。
ざっくり言うと、
小さなフィンはルース性能やスライド性能が高まり、ターンの軽さを感じることができます。
その反面、安定感に繋がるホールド性能やグリップ性能、ボードを走らせる駆動性やドライブ性能にはデメリットとなって来ます。
大きなフィンは逆で、ホールド性能、グリップ性能、駆動性能、ドライブ性能が高まるので安定感がでて前に進みやすくなりテイクオフが楽になります。
当然ターンに関わる性能が低下するので、軽快な動きはしにくくなります。
さらにこまかくフィンの大きさや形状が性能にどのように影響するか解説していきます。
フィンの付け根の幅「ベース」
フィンのプラグに固定する部分、フィンの付け根をベース(BASE)と言います。
このベースが広いほど、駆動性、ドライブ性、ホールド性が上がりボードを走らせる力が高まります。
ベースが狭いほど、ピヴォット性、ルース性が上がりボードの回転性が高まります。
フィンの高さ「デプス」
フィンの底から頂点までの高さをデプスと言います。
デプスはが高ければホールド性やグリップ性が高まり安定感に強く影響します。
反面フィンのデプスが低ければ、ルース性が生まれ回転性はアップしますが安定感は損なわれてきます。
フィンの表面積「エリア」
フィンの表面面積をエリア(AREA)と言います。
エリアが広いとホールド性、駆動性、ドライブ性、グリップ性が高まります。
エリアが狭いとそれらが損なわれ、反面ルース性やスライド性が生まれ回転性の良さを感じるようになります。
フィンの傾斜「レイク」
フィンの傾斜はレイク(RAKE)、またはスイープ(SWEEP)と言われています。
レイクが大きいほどドライブ性が高まり、伸びのあるターンをしやすくなります。
逆にレイクが小さいと、ピヴォット性、ルース性、スライド性が高まり、回転半径の小さいターンが可能になってきます。
フィンの先端「ティップ」
フィンの先端はティップと言います。
ティップが細いと、ピヴォット性能、リリース性能が高まり、リッピングなどでのフィンの抜けがよくなり素早さを感じられるようになります。
その反面、ホールド性能が低下し安定感が損なわれがちになります。
フィンメーカーとタイプ
どんな種類のフィンがあるの?
フィンには取り外しのできないオンフィンや、フィンの取り外しが可能となるFCS・FCSⅡ・Futuresfinといったフィンシステムがあります。
FCS
ネジを使ってフィンを固定するFCS社の旧式フィンシステムです。
フィン1枚につきネジを2本締める必要があるので取り外しに手間が掛かるという欠点があります。
FCSⅡ
FCS社のフィンシステム。
ネジを使わずにワンタッチでフィンを脱着できるように従来のFCSから進化しました。
しかし、サーフィン中にフィンをロストしたという話はよく聞く話です。
手軽に取り付けられる反面、ネジを付けなければロストする危険性もあります。
また、ネジを使えば従来のFCSフィンを取り付ける事もできます。
FCS社は日本国内において最も知名度の高いフィンメーカーです。
標準的なフィンをはじめ種類や素材も多く、初心者から上級者まで様々なレベルやスタイルに合わせてチョイスできるのがFCS社のフィンの魅力です。
FUTURES FIN
FUTURES FINはボードとフィンの接合部の剛性が強く、オンフィン(取り外し不可のフィン)に近いフィーリングがあります。
特に上級者に人気が高いフィンシステムです。
FUTURES FIN社のカタログを見ると多くのフィンを見ることが出来ますが、意外に形状としての種類が少なく、素材別の種類が多いブランドです。
アクションを重視にチョイスをする中級者や上級者にはフィンを選ぶのが楽しいブランドと言えますが、初心者や初級者には選択の幅が狭いブランドです。
ツイン系のフィンも多くリリースされているので、オルタナティブ系を好むサーファーにも人気が高まっています。
オンフィン
ボードに直接フィンが固定されている取り外しのできないフィンです。
ボードに直接フィンを固定しているためフィンのレスポンスを直接ボードに伝えられるメリットがあります。
ただ、フィンが外せないためフィンを変える楽しみはありません。
またサーフトリップなどで沢山のボードを運びづらいという欠点があります。
今では取り外しが出来るFCS社やFuture社のフィンシステムが主流となっています。
他にもフィンを販売しているブランドはありますが、特に初心者の方は、まずは入手もしやすいFCSⅡを使用されるのがおすすめです。
フィンの選び方
自分に合ったフィンを選ぶにはどうすればいいの?
これまでのフィンの基本知識をもとに、自分に合ったフィンを探すためのポイントをお伝えしていきます。
初心者、初級者サーファーは安定感と直進性に関わる性能を優先しよう
初心者や初級者にとっては、まず何をするにも安定感に繋がるホールド性が必要になります。
そして弱いパドルでもしっかり推進力に変えてくれる駆動性も重要です。
これらの性能を優先させるならベースが広く、デプス、ティップスがあり、エリアの広いフィン。つまり大き目なフィンを使用すると良いでしょう。
「まだフィンの感覚なんて分からないよ!」って方でも、駆動性があるフィンを使用すればパドルやテイクオフが楽に感じられるようになります。
グリップ性やホールド性の高いフィンを使用すれば安定感が出るので練習もしやすくなります。
例えフィンの感覚がわからない初心者や初級者でも、レベルに合わせたフィンを選ぶことで多くのメリットを得ることが出来ます。
その結果、成長スピードにも影響すると言えるでしょう。
初心者、初級者はFCS/FCSⅡがおすすめ
FCS/FCSⅡは素材やサイズなど選択肢が多いので、初心者や初級者にも最適なフィンを選ぶことが出来ます。
素材は初心者や初級者の場合、ボードコントロールがしやすいフレックス(しなり)のあるフィンから試すのが良いと思います。
FCSⅡであれば、初心者ではグラスフレックス素材、初級~中級者であればネオグラス素材がリーズナブルであり、フレックスもよくおすすめです!
形状は最もベーシックと言えるPERFORMERで自分の体型に合ったサイズのフィンを試してみるのが良いでしょう。
初心者におすすめのグラスフレックス素材のPERFORMER
初~中級者におすすめのネオグラス素材のPERFORMER
サイズはS・M・Lと体型に合ったフィンがあるので、自分の体重に合ったフィンを選んでください。
FCS・FCSⅡ体重適正
X-SMALL | 55kg以下 |
---|---|
SMALL | 55kg~70kg |
MIDIUM | 65kg~80kg |
LARGE | 75kg~90Kg |
X-LARGE | 85Kg以上 |
FCS社のフィンについてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります↓
レベルが上がってきたらその他の性能を考慮しよう
ターンが練習出来る段階になり、安定したターンを目指す頃にはグリップ性能も必要になります。
波を横へ走り、アップスでのレールワークや加速を練習する段階では、安定性、ホールド性、グリップ性とのバランスを考えてのフィン選ぶことがオススメです。
ピヴォット性能、リリース性能、ルース性能、スライド性能といったフィンのポテンシャルは、主にアクション時に影響する性能です。
アクションを練習出来る段階の中級者や上級レベルになった時に意識していくとよいでしょう。
サーフボードのデザインによる相性
フィンはサーフボードのデザインによってもチョイスは変わります。
好みにもよりますが、基本的にベースやレイクの大きいフィンは特にテールロッカーの強めなボードと相性が良いです。
逆にロッカーの少ない小波用のボードでは、レイクが小さく立っているフィンとの相性がよいです。
小波の厚いフェイスで回転半径の小さいターンをしたい時はベースの狭いフィンが相性よかったりします。
まとめ
これまでをざっくりまとめてみます。
- フィンの性能には駆動性、ピヴォット性能、リリース性能、スライド性能、グリップ性能、ホールド性能、ルース性能がある
- フィンの性能はベース、デプス、エリア、レイク、ティップで決まる
- フィンのタイプにはFCS、FCSⅡ、FUTURES FIN、オンフィンがある
- 大きなフィンは安定性と直進性にすぐれ初心者向き
- 小さなフィンは回転性にすぐれ上級者向き
- レベル、スタイル、ボードに合わせたフィン選ぶ
自分に合ったフィンを選ぶには基本的なフィンの知識をマスターした上で、実際に試してみることが大切です。
フィンを変えたら、まるで水を得た魚のようにボードを思うように扱えるようになった!と思えるほど変わることもあります。
とはいえフィンは高価なアイテム。
色んなフィンを試すのも難しいかと思いますが、サーフィン仲間が持っていたら借りたり貸したりして試してみるのも楽しいと思います。
色々試して自分に合ったフィンを探すのもサーフィンの一つの楽しみ方です。
サーフィンの楽しさの幅も大きく広がって来ますよ。
サーフボードの基礎知識シリーズ↓