以前はシャープなボードが主流でしたが、昨今はサーフィンスタイルやサーフボードの自由化によって様々なアウトラインのボードが存在しています。
ここではサーフボードのアウトラインの違いによって乗り味がどのように変わってくるか、アウトラインについて詳しく解説していきます。
もくじ
アウトラインの構成
サーフボードの全体的な形状をアウトラインと言います。
アウトラインは、ノーズアウトライン、マックスワイデスト、テールアウトラインから構成されます。
ノーズからテールまで美しい曲線ラインでバランスよく繋がることが、抵抗を生まずスムースなスピードやターンを可能とし、調子のよいボードと感じることが出来ます。
基本的にはカーブの大きなラインは回転性を高め、ストレートなラインはドライブ性がアップすると考えられます。
ノーズアウトライン
サーフボードの先端エリアのアウトラインです。
基本的にターンのキレに影響します。
ノーズが広いことでのメリット
ノーズアウトラインを広めると、安定性と推進性をアップ出来ます。
パドリングの際に、胸の前辺りのワイドがあるので、パドリングでもテイクオフでも安定感が出てきます。
パドリングが上達して来ると、漕ぐと同時にムネでボードをプッシュして、加速を得るテクニックもつくようになってくるかと思います。
この際ノーズ寄りに幅があることで、プッシュしやすく更なる推進加速を得られやすくなります。
テイクオフでも同等で、ボードを滑り出させる際に、パドルだけでなく胸でプッシュするようにボードを前へと走り出させやすくなります。
幅広なノーズが抵抗となり、パーリングを避けやすくなるといったメリットもあります。
また前足よりノーズ寄りにワイドがあることで、前足での荷重によるプッシュがしやすくなり、やはり推進加速を得やすくなります。
マッシーなブレイクでも、速いブレイクでも、加速を得るのに大変有効となります。
ワイドがあることでの安定感から、バランスを崩してもリカバリーしやすいといったメリットもあるでしょう。
- 安定感の向上
- 推進性の向上
- パーリングを避けやすくなる
- 前足でのプッシュがしやすくなる
ノーズが広いことでのデメリット
ノーズワイドが大きいほど、ターンの際にノーズのエリアがフェイスに当たりやすくなります。そのため、ターンでのキレが損なわれてきます。
またカットバックやリッピングなどのアクションにおいても、幅があるほどキレの無い重いフィーリングとなって来ます。
ドルフィンスルーの際、ノーズワイドが広くなるほどノーズが沈めづらいといったところもデメリットと言えるでしょう。
- ターンやアクションのキレが損なわれる
- ドルフィンスルーでノーズを沈めづらい
ノーズが細いことでのメリット
ノーズ形状がシャープになるほど、アクション時のリリースが素早くキレのよいフィーリングで気持ちよく攻められるようになります。
連続でアクションを攻めて行くにも、このキレの良さは軽快さとして感じられるようになります。
またサイズがありショルダーの立ち上がるパワフルなブレイクでは、レールの切り返しを素早く行うことが出来るので、ボードコントロールが行いやすくなります。
ドルフィンスルーではノーズが細くなるほど沈めやすくなります。
ハードコンディションでのボードではノーズが細めなほど有効になるでしょう。
- ターンやアクションでのキレが向上する
- サイズとパワーのある波でのボードコントロールがしやすくなる
- ドルフィンスルーがしやすくなる
ノーズが細いことでのデメリット
ノーズワイドが細くなるほど、安定感が損なわれてきます。
パドリングやテイクオフでは、ボードコントロールがシビアになってくるため、サーファー自らのスキルが必要となってきます。
テイクオフでも荷重配分がシビアになり、ノーズ寄りの荷重が大きすぎるとパーリングに繋がりやすくなります。
ライディングでも同じく、前方に荷重をかけすぎるとノーズが刺さり気味となり、失速に繋がりやすくなります。
そのためパワーレスなスモールコンディションやマッシーなフェイスでは、推進加速を得にくくなります。
- 安定感が損なわれる
- パーリングしやすくなる
- パワーレスな波ではスピードを得にくい
ノーズアウトラインのポイント
- 初心者や安定を重視するサーファーの場合、ワイドノーズがおすすめ
- パドルやテイクオフを重視にするなら、ワイドノーズがおすすめ
- パワーレスな小波用などは、ノーズワイドがある方が有利
- パフォーマンスのキレを求めるほど、細いノーズがおすすめ
- ショルダーの張るパワフルでフェイスの硬いブレイクでは、ノーズは細めの方がおすすめ
マックスワイデスト
マックスワイデストとはサーフボードの最大幅、または最大幅のある位置のことです。
ボードの全体的なワイド感を決める上でも重要なバランス部分と言えます。
一般的にはボードの全長のセンターにマックスワイデストを持ってくるセンターマックスワイデストと、少しノーズ寄りにマックスワイデストをデザインするフォアードマックスワイデストがあります。
センターマックスワイデスト
ボードの中心に最大幅を持たせるとセンターが支点となるので、ボードコントロールの際の荷重配分がノーズ寄りとテール寄りで同等のフィーリングとなり、癖を感じない乗り味となって来ます。
最も一般的なデザインと言えます。
このセンターワイデストを広く取るほど、ノーズワイドとテールワイドも広くとる必要が出てきます。
センターワイドが極端に広いのに、ノーズとテールをシャープにすると全体的にいびつなアウトラインとなってしまうわけです。
シャープなボードはセンターワイドが細目、
小波用ではセンターワイドを広めに取ることでノーズ形状に膨らみを感じるデザインに、
そしてラウンドノーズなどノーズワイドがあるボードはセンターワイドも大変広めに、
といったデザインが見かけられるのは、そういった理由があるからです。
フォワードマックスワイデスト
パドリング時の胸の前辺り、またライディング時の前足の前辺りに最大幅があると、パドルやテイクオフでの安定感が断然高まります。
パドリングでは胸でプッシュしての加速をつけやすく、テイクオフ時にはノーズから引っ張られていくようなテイクオフの滑り出しの良さを感じられるようになります。
パドリングとテイクオフの性能を重視したい場合のおすすめのデザインと言えます。
ライディングでも前足に荷重をかけているだけで、力無い緩やかなフェイスもグングン走っていってしまうほどの高い推進能力を感じられるようになります。
ただし、テールエリアも幅を持たせてロッカーも弱くしてしまうと、とてもよく走る直進性の高いボードになりますが、ターンが大変難しいボードになってしまいます。
そこでこういったデザインのボードは、テール寄りのロッカーを強めにデザインしたり、ノーズ寄りに設定したマックスワイデストからテールにかけては絞り込むデザインをよく見かけます。
このようなデザインはノーズ寄りで加速、テール寄りでターンといった乗り方が必須になってきます。
パフォーマンスショートボードでもよく見かけるデザインですが、レトロツインフィッシュは、まさにこのフォワードワイデストを採用したボードですよ。
マックスワイデストのポイント
- 癖なくスタンダードに乗るならセンターマックスワイデスト
- パフォーマンスでキレを求めるならセンターマックスワイデスト
- パドリング&テイクオフを楽にしたいならフォワードマックスワイデスト
- イージーな加速性とにパフォーマンスを攻めたいならフォワードマックスワイデスト
テールアウトライン
サーフボードのテールエリアのアウトラインです。
基本的にテールコントロールにおいて大変重要となるアウトラインエリアです。
テールが広いことでのメリット
テールの幅が広くなるほど、弱い波の力も得られやすくなります。
パドリングが安定し、パワーレスな小波でもテイクオフを早められるメリットがあります。
ライディングにおいては、テールを踏込みリリースした際の反発を得やすくスピードに変換しやすいため、 パワー無く押しの弱い波でも加速させられるといったメリットにも繋がります。
そのため小波用でよく見かけるデザインです。
- パドリングが安定しテイクオフが早められる
- テールを踏み込んだ際の反発をスピードに変換しやすい
テールが広いことでのデメリット
テール面積が広くなるので、パワーのあるブレイクでは波の力を受け過ぎてしまい何かとデメリットに感じるようになってします。
サイズのあるハードコンディションでゲッティングアウトする際も、ドルフィンでテールを蹴り込む際に沈めづらくハマりやすくなってしまうのもデメリットと言えます。
- 波の力を受けすぎてしまう
- ドルフィンスルーでテールを蹴りこむ際の抵抗が大きくなる
テールが細いことでのメリット
テールが細くなるほどテールコントロールが俊敏になります。
テールのコントロール性が高まるので波のポケットをタイトに攻めやすくなります。
ターンでのテールコントロールも、テールが細くなるほど回転性がよくなり軽快さがアップします。
波へのホールド感も増すので、サイズのある波や掘れるブレイクでもアプローチしやすくなります。
ハードコンディションでもドルフィンスルーでテールを蹴りやすく沈めやすくなり、ゲッティングアウトが楽に感じられるようにもなるでしょう。
- テールのコントロール性が高まる
- 回転性がよくなりターンが軽快になる
- ホールド感が高まり掘れる波もアプローチしやすくなる
- ドルフィンスルーでテールを沈めやすい
テールが細いことでのデメリット
パドリングでテールがふらつき不安定になりやすく、使用するフィンで調整等が必要になります。
波の力を得られづらく、パワーの無い波や小波などのコンディションョンではテイクオフがしづらく感じるようになります。
ライディングでは、パワーの無いブレイクでテールが反応し過ぎて失速感を感じたり、テールを踏み込んだ際の反発を利用しづらくスピードを得にくく感じたり、アクションではテールが食いつきすぎて抜けを感じづらいといったデメリットを感じるようになります。
- 安定感が損なわれる
- 波の力を得にくくなるためテイクオフが遅くなる
- 反発を利用しての加速がつけにくい
- テールが食いつきすぎて抜けを感じづらい
テールワイドのポイント
- パワーレスなスモールコンディションにはワイドなテール
- サイズのあるパワフルなコンディションでは細めのテール
- 安定感のあるコントロールを求めるほどワイドなテール
- タイトなコントロールを求めるほど細めのテール
バンプとウィングについて
バンプとウィングはテールエリアに採用するデザインで、テールワイドをキープしながらテールエンドを絞り込むアウトラインテクノロジーです。
これによりパドル性能、テイクオフ性能、コントロール性を向上させることが期待できます。
バンプ
バンプはテールにかけてカーブを描くラインから、支点を作りストレートな曲線に切り替えてテールエンドにかけて絞り込むデザインになります。
テールエリアに支点と直線的な曲線を設けることで、その支点はルースを生みターンのきっかけを作りやすく、ドライブターンの際には直線的なラインが伸びを生み、テールエンドを絞り込めることでタイトなテールコントロールを可能にします。
ウィング
ウィングは、切込みを入れてハッキリと段差を持たせたデザインです。
比較的パワーの無いマッシーなコンディションでテールコントロールを軽くするには向いているデザインと言えると思います。
小波用モデルでよく見かけるデザインです。
ルースで急激な反応を生むためショルダーの張るパワフルなブレイクでは反応しすぎて向いているとは言い難いです。
メリハリがはっきりしすぎてくるので不安定に感じる場合があり、初心者やターンの未完成なサーファーには、あまりおすすめできないデザインかなと思います。
サーフボード基礎知識シリーズ↓